「ピーターのいす」
エズラ・ジャック・キーツ(さく)
きじま はじめ(やく)
偕成社
ピーターはつみきをたかくたかく積んで・・・
それが「がしゃん! いっぺんに、ぶっこわれた。」
と始まります。
ピーターの今までの生活が一変する様子が
上手い具合に 導入からされているんだなぁと
今更ながら気付きました。
うまれたてのあかちゃん、いもうとのスージーが
来たことから 自分の今までの世界を塗り替えられるごとく
ピーターの使っていた ゆりかご、あかちゃんのしょくどういす、
あかちゃんベッド・・・と青からピンクへとお父さんが
塗り替えています。
危機を感じたピーターは まだ塗り替えられていない
ちっちゃい時に座っていた青いいすなど持って
犬のウィリーと家出しようと考えます。
ちっちゃい時に 座っていたいすは
もう自分には 小さすぎておしりが入らない事を知った
ピーターは またどうやって家に帰ろうかと
考えるのです。
これって すごく丁寧な描き方ですね。
子どもだって家出をいったんしたからには
やっぱり そうそう帰れないんですよね。
上手い具合に 家に落ち着いたピーターは
自分から いすをおとうさんと塗り替えることを
提案して 一緒に塗るのです。
この短い絵本の中に なんてテンポ良く
子どもの気持ちの流れを汲んでいるんだろうと
今更ながら、感動してしまいます。
詩人の きじま はじめさんの訳も
テンポの良さを際立たせていますよね。